月別アーカイブ: 1月 2014

教育委員会という「現場」 :メンターチームプロジェクトから

東京大学学際情報学環 中原淳先生のブログ
「他人の育成」を手がけることで「自分の能力」を伸ばすこと」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/01/post_2165.html

————————————————————————————————–

ここ数年間、中原淳先生のもと、横浜市教育委員会とともに教員の人材育成について研究を行ってきました。大量採用時代の若手教員はどのように熟達していくのか、それを支援するにはどうしたらいいか、そういった事について研究を行ってまいりました。

このプロジェクトでは、調査を行うだけではなく、研修においてその調査から得た知見を教員の方々にかえしていくという取組も行いました。

研修の進め方においても、これまでの教員研修としてはあまりないようなタイプだったと思います。LEGOを使ったり、TEDx風のプレゼンをしていただいたり。。。昨日はその区切りの研修でした。(内容についてはリンク先参照です。)

今回のプロジェクトを通じて、自分自身色んなことを学べたように思います。

新しい概念にも触れる事が出来ました。

しかし何より、中原先生と一緒に、教育委員会の方々と何かを生み出していく、そういう経験が出来た事が自分にとって大きかったと思います。

もちろん、教員時代に指導していただいたりとか、研究として視察に行くとか、そういった形での教委との関わりはあったのですが、一緒に何かに取り組むという事は初めてだったように思います。

教員時代には気付かなかった当たり前の事なのですが、教育委員会には委員会としての「現場」があります。

そこでは、日々、悪戦苦闘、奮闘されてる方々がいました(私がみたのは、そのうちのほんの一部、氷山の一角だと思いますが…)。

中原先生も、そういった現場の方々の想いを受け止めながら、共同研究をされていました。

それを間近で見させていただいた事も、本当に勉強になりました。

私自身、学校という現場ももちろん大切にしながらですが、教育委員会にとっても御力になれるような、そんな存在になっていけたらと思います。

大量採用時代における若手同士の結びつき ~メンターチームに似た事例~

先日、こんなコラムがありました(産経新聞2013.1.13)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140113/wlf14011307010001-n1.htm

【大阪の教育は輝くのか 第5部・学力向上との闘い(4)完
夜の教室、悩める若手教員「自主勉強会」…急加速する「教員の世代交代」、崩れる“学校の力”】

 教員の世代交代が急速に進む大阪では、いびつな年齢構成がネックとなり、指導力に代表される「学校の力」が危機に瀕している。
 府教委によると、府内の公立学校の教員は50歳以上が4割弱を占め、さらに団塊の世代の大量退職に伴う新規教員の大量採用で20代から30代前半の若手も厚い層をなす。一方で、30代後半から40代の中堅層は極端に薄くなっている。
 たとえば羽曳野市立誉田(こんだ)中学校には昨春採用された新人教員が4人もいる。日々の授業や生徒指導、保護者対応など新人教員がぶつかる壁はさまざまあるが、同校では中堅教員が少なく、若手が気軽に相談できる機会も限られる。墨村未来士(みきお)校長(59)は「マニュアルが通用しない世界で、指導力の継承に支障が出ている」と嘆く。せめて若手が悩みを抱え込まないようにと、日々気を配る。
 そうした積み重ねが及ぼす深刻な影響について、府教委の陰山英男委員長は「ゆとり教育で育った世代が教員になり、熟練者が急速に減っている」と述べて学力低迷の一因にあげた。学力向上の前に指導力低下という壁が立ちはだかることを裏付ける発言だった。

教師力向上に奮闘
 苦悩を深める学校現場だが、指導力の向上とともに家庭や地域の力も積極的に取り入れようとする新たな動きも生まれている。
 晩秋の夕闇が迫る頃、生徒が帰宅して静まりかえった校舎の会議室に明かりがともり、ノートと筆記用具を持参した教員が続々と集まってきた。「授業にのってこない生徒をどう引きつけたらいいのか…」。若手教員が悩みを打ち明け、先輩教員が助言する。熱を帯びた話し合いは夜遅くまで続いた。
教員23人のうち20代が9人を占める大阪府枚方市立山田中学校で、月に1回開かれる自主勉強会。31歳の大沼耕(こう)教諭が昨年5月、授業の指導法などに悩む若手教員のために立ち上げた。
 同時に、生徒の生活習慣改善に家庭の協力を得ようと「学校だより」などで積極的に情報を発信。家庭での学習が困難な生徒には昼休みや放課後、教員が個別指導を行う。切磋琢磨の勉強会と家庭に歩調を合わせた取り組みとの相乗効果で、大沼教諭は「授業風景が一変した」と胸を張る。 

(以下略)

・・・

これまさに、私が研究対象としている自治体と同じ現象です。
今は都市部が中心ですが、これから地方にも広まっていくと考えられています。

大量採用により若手が多い。
しかし、若手が最も頼りにできる「ナナメウエ」の先輩は少ない。
結果、仕事で悩み若手がメンタルをやんだり、離職率が高まる。。。とまでは書かれていませんが、
そういった事にもつながっていく可能性はあると思います。

かつては、自然発生的に先輩後輩関係が築かれていました。
しかし、先ほども書いた年齢構成の問題や、社会状況の変化などから、そういったものが築かれにくくなりました。
そこで、ある程度組織的に背中を押してあげながら、若手同士のつながりを作っていく、
若手同士の勉強会や相互支援組織をつくっていく、というような事が行われています。

我々の研究では、こういった取り組みについて分析しています。

単に仕組みを作っただけでは上手くいくとは限りません。

研究の中からも色々な課題やヒントが見えてきました。

教育方法学会などでこれらについて発表してきましたが今後も研究を続けていきたいと思います。
https://cdai80.wordpress.com/2013/10/06/%E6%95%99%E8%82%B2%E6%96%B9%E6%B3%95%E5%AD%A6%E4%BC%9A/

上記の記事における枚方市立山田中学校の実践は、我々の対象としているもの(メンターチーム)に近い気がします。

いつか見学にいってみたいです。

人生の軌跡 ~ライフサイクル・ライフコース研究~

『誰もが同じように生きていくのであれば、人の一生はサイクルとしてとらえられ』る(佐藤2011)

今日、ちょっとしたきっかけがあって、こんな書き出しで始まる論文を見た。
確かにそうだ。
かつては、多くの人が同じような人生を生きていた
(と言ったら、昔の人間たちが起こるかもしれない。ごめんなさい。)
しかし、今は各個人がそれぞれ異なる経験をし、多様な生き方をするようになった。

皆が似たような生き方をしていた時代には、「どんな共通点があるか」に注目して、ライフサイクル研究が行われていた。
今は、「人生におけるどんな出来事が違いを生み出すか」に注目して、ライフコース研究が行われている。

・・・という理解でいいかは分かりませんが、そんなような事が論文の始まりにも書いてあった気がします。

教員のライフコース研究というものもあります。
「どんな人生・キャリアを歩んできたか」という事例がたくさん載っていて、結構、好きです。
物語を読んでいる時と似たような気持ちになります。
このライフコース研究では、職務上の出来事だけでなく、個人の生活上の出来事も分析されています。
例えば、結婚や出産なんかもそうです。
確かに、結婚すれば、生活が変わりますし、仕事への取り組み方も変わります。

なんでこんな事を書き始めてみたかと言うと、今、姉が出産を控えているからです。

二人目の子どもです。

一人目の子が生まれた時は、父が他界した半年後でした。
父は、若くして癌になり、しかし、明るく元気に闘病をしていました。
が、闘病中に脳梗塞になり、コミュニケーションが取れなくなり、それに伴ってがん治療が行えなくなり、死にました。
姉の妊娠が発覚したのは、父が脳梗塞になったすぐ後でした。
こんなタイミングでこんな事が起こるのか、と思ったものでした。

また、私が教員をやめて大学院に入り直したのも、父の脳梗塞直後でした。
トップページにある黒板の横に立つ写真は、父が脳梗塞になった直後、学校という職場を離れる日に、記念に撮った写真です。
父の病状について不安に思う気持ちと、学校を離れる寂しさとで、なんとも言えない気持ちで撮ったのを覚えています。

脳梗塞になって以来、表情を見せていなかった父でしたが、
大学院入学の日、受け取った学生証を真っ先に父に見せに行った時、
それまで何も反応できなかった父が、涙を流してくれたことを覚えています。

父に誇れる人生を歩みたいと今も思います。

僕は、結構人生のサイクルの部分を大切にする人間なんじゃないかな、と思います。

なに書いてんのかわからなくなってしまいました。

無事、姪っ子(か甥っ子)が生まれますように。

あ、今年もよろしくお願いします。

佐藤宏子(2011)「農村有配偶女性のライフコースの変容 : ライフ・イベントと職業経歴のコーホート分析」『兵庫県立大学環境人間学部研究報告』13、9-19