韓国入試事情の話を聞いて:ハイパーメリトクラシー、ペーパーテスト改革、自国史などなど

今日の非常勤@専修は、ゲスト講師の方をお呼びしての授業。
大学院同期のイさんに、韓国の教育事情について話してもらった。
そこで聞いた話と、感じた印象をここに記しておきたい。

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 一言一句、細かいニュアンスまでしっかり聞いたいたわけではないので、ゲストの方の印象なのか、エビデンスのある話なのか、僕自身掴みきれてない部分もある。一般論かどうか、あるいは、韓国の人たちの共通認識として良いのかどうかは迷う部分がある。

とはいえ、ひとまず、記しておきたい。

▼ハイパーメリトクラシーと推薦入試

 韓国では、ハイパーメリトクラシー重視の傾向がどんどん強くなり、推薦入試の割合がかなり高まっているらしい。トップ校(例えばソウル大学)でも半数以上は推薦。
 日本では、東大が最近初めて推薦を始めたという状況。程度にはかなり差があるものの、ペーパーテストで測れない部分を重視したいという意味では共通しているとも言える。

▼ペーパーテストの変化

 逆に、一般入試においても、ペーパーテスト入試の重みはどんどん下がっているとのこと。これには2つの見方ができそう。
 一つは、ハイパーメリトクラシー的なもの(内心・面接)の重視による相対的な低下。ペーパーテスト(全大学共通。大学修学能力試験)で問える学力の重みはどんどん低くなっているとのこと。結果、ペーパーテストは「基礎学力があるかどうか」に特化しており、問題が非常に簡単になっている。
 もう一つは公平化を目指したもの。これまで良く語られてきた通り、韓国では受験競争が過熱し、私教育費(塾代など)がかなり高まっていた。そのため、経済格差がそのまま教育格差につながるという傾向があった。そこで、2011年から、公平化を目的に、EBS(教育テレビ)の内容を試験の基準にすることになった。EBSは格安で誰でも見られるため、それが問題のもとになれば、あまり条件に差がつかないという発想。日本の教育テレビを見ていても分かる通り、それほど複雑な内容は扱われない。かつ、放送の内容そのままの問題も数多く出題されているのが現状のよう。結果、簡単すぎて、あまり差がつかなくなり、選抜におけるペーパーテストの重みが低くなった。
 前述した因果とは逆で、むしろ、ペーパーテストで差がつかなくなったことが原因で、ペーパーテスト以外の評価方法の重みが高まった、(例えば、推薦入試枠が増えた。内心の重視)との説もある。

 ちなみに、ペーパーテスト軽視とはいえ、その対策はやはり必要。満点を取り、他人と差がつかない成績を取れる程度の対策は求められる。難しい問題を解けるようになってプラス点を取り、差をつけようという発想ではなく、簡単な問題をミスらないようにして、マイナスを生まないという対策。

▼内申と格差

 一般入試の中でも重み付けが高まったのが、内申や面接。「リーダーシップ」などの評価項目があり、例えば、ボランティアをどれだけやったか、といったことが評価されるようになった。一部には、ボランティアをやったという記録を金でどうにかするということも出来るようになり、むしろ、経済状況による格差は広がったとの噂もある。。。ハイパーメリトクラシーがそもそも環境要因に左右されやすい、格差を固定化しやすいという批判はあったが、こういった裏ルートへのアプローチという意味でも機会の格差は大きいのかもしれない。

▼ペーパーテストの方向性に関する日韓の差

 日本では、高大接続改革等で、論理的思考力とか、アウトプットの力といったものをペーパーでも問うていきたいという方向性がある。(例えばセンター試験改革など)
 一方、韓国はそういった方向にはいかず、ペーパーテスト型入試にある意味見切りをつけて、割り切って、「基礎学力があるかどうか」に特化していると感じた。

▼自国史の必須化

 ここまでの流れとは異なるが、自国史の話。
 韓国では、韓国史が、大学修学能力試験の中で必須になるらしい。他の科目は何を受験するか選択できるが、韓国史は必ず受験しなければならなくなったとのこと。大学に行くためには、韓国史を学ばなければならない。今年から。
 日本では、日本史の近現代史が授業として必修化される予定。ただし、これはセンター試験等とは関係なく、授業の必修化。
 ナショナリズム重視の時代において、歴史認識で対立する両国が自国史をほぼ同時に必須化する、というのはなかなか興味深い。どちらも、もっと自国史を大切にしようという発想。日本にいるイメージでは、韓国では自国史を昔からものすごく徹底して教えているイメージがあるが、韓国内ではそういう評価ではなかったらしい(やはり、「若いもんは我が国の歴史も知らん。教育がなっとらんからじゃ」的な評価)。
 一方で、そのアプローチが、入試の枠組みを通じて、あるいは、授業の枠組みを通じて、という違いがあるのも面白い。日本だと、センター入試の方式を変えるのは世代間の差とか生みそうで慎重になるし、国が介入しにくそう。そのあたりガッとやっちゃうのは、韓国の強みでもあり、危うさでもあるような気がする。

 


 

 以上が、今日の話と、それを聴きながら感じたこと(混在してまーす)。
 欧米なり、日本と全く違う国について学ぶのも新たな発想に気づくので面白いけれど、東アジアの国を見ると、どこか地続きな感もあり、逆に、違いが際立って見える気がして面白い。

僕自身、すごく楽しく話を聞かせてもらった。

同期つながりに感謝!!!

 

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