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【動画】働き方研修プロジェクト:巻き込み×データ対話による86校での実践を目指して

横浜市教育委員会とともに、3年間の働き方プロジェクトを進めてきました。
1年目は実態調査、2年目はモデル校実践、3年目は研修を通じて86校で実践。

この3年間の中で、私たちのプロジェクトが重視してきたのは、「自分たちの働き方を自分たちで決める」ことです。

なぜこれを大切にしてきたか。

働き方は、最後は個人に帰結します。
どんなに無理やり「定時退勤だ」と言われても、結局「帰れない人」「帰りたくない人」「帰った形で別の場所で働く人」を生んでしまいます。
それどころか、「帰れ」という側(言う側もどこか無理をして言っていたりするかもしれません)と「はいはい」と動かされる側に嫌な空気さえ流れる。
結局、腹落ちしないで押しつけられた定時退勤も、部活動休養日も、資料共有も、様々なルールも長続きしない可能性が高いです。
決めたルールも使おうと決めたシステムも、ちょっとずつゆるくなっていく、曖昧になっていく。
つまり、「ウヤムヤ化」が起きます。

だからこそ、「自分たちで決める」なのです。

以下の雑誌記事には、先日の成果報告会の様子が記されていますが、記事の中にこんな文言があります。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17938

”「『自分たちの学校にとって必要だ』とみんなで話し合って決めた改革案を途中で投げ出すわけにはいかない」”

それぞれが自分ごとと思って働き方改革に向き合われたからこその言葉ではないかと思います。

しかし、”「自分たちで決める」と言っても、「自分たちの中から」多様な意見が出て、結局何も決められないんじゃないか、何も変えられないんじゃないか・・・”
確かに、そうなり得ます。
我々もそれを危惧しました。

だからこそ、私たちは目的の共有と、対話、意思決定にこだわりました。
つまり、「決め方」です。
データを用いた対話と、ワークショップ的な手法を活用しました。
詳しくはこれから論文等で示していく予定です。

※決め方の「一端」は、下記の書籍に書いています。
スクリーンショット 2019-02-07 3.57.25
データから考える教師の働き方入門(毎日新聞出版社)

1番のポイントは、「みんなでワークショップをおこなって決めていく」ことです。
ただ、丸腰でそれを行っても上記の懸念のように、「決められない」かもしれません。
だからこそ、「その対話を可能にする」ためにデータを用いるわけですし、
「意思決定の質をあげる」ためにデータを用いるわけです。
そしてそして、これらの取り組み全体を実現可能にするために
「プロジェクトチームを組む」わけです。

と言ってみても、詳細は伝わらないと思います。笑
その辺りについても、これからアウトプットしていきたいと考えています。

最初に書いた通り、2年目はこの実践をモデル校で行いました。
我々も学校の中に入って、一緒に行いました。
そして、3年目は、それを86校で実践する、という取り組みを行いました。

この実践、モデル校に我々が入って一緒にやるとき(2年目)でさえ、それまでの学校との共同実践に比べて、難易度【1000】倍くらいでした(当社比)。
ですが、これを86校で行うのは、さらに難しかったです。
難易度【243117】倍くらいでした。

「86校で行う」というのはどういうことかというと、つまり、新任校長研修を通じて、上記の取り組みを各校で運用できるよう、86人の校長先生を支援した、ということです。

後で挙げている中原先生のブログでは、この取り組みを下記のように表現しています。
===
1. 管理職をチェンジエージェント(変革の中心人物)とした働き方改革のプロジェクトを組織してもらう
2. その(各校での:町支注)プロジェクトでは、サーベイフィードバック型の組織開発の手法を用いながら実施してもらう
3. 1と2をうまく組織化するアクションラーニング型の研修を実施する
===

なんのことやら、伝わったかどうかわかりませんが、前述の、みんなで決めていく型の取り組みを推進していけるような、その推進担当者として校長先生に対する研修を行なったということです。

正直に言って、かなりハードで繊細な研修でした。
いつ火を吹くかわからない。
そんな研修でした。

働き方の研修と言っても、「考え方」を示して実際の進め方には言及しない、
「施策の事例」はたくさん示すものの実際の進め方には言及しない、
あるいは、「施策の事例」を「これが正解だ」みたいな形で強制するもの、
そういう研修って結構あると思うんですよね(自戒を込めて)

最終的にやった施策を見せられるってのは、試行錯誤した結果のみを見せられるようなもので、
実際の肝はそこに至るまでの道中にあると思うんですよね。
でも、大抵の研修は、そこの前だけか、あとだけで、実際の進め方は見えてこない。
わからない。(まぁこれは、働き方の研修に限らないと思います。)

そんな研修、そこそこまぁまぁありますよね。(自戒を込めて。2回目。)

そうならないために、どうすればよいか、ものすごく頭をひねって考えました。
研修でこの実践をすすめるということは、上記のデータを用いた対話と、ワークショップ的な手法を、我々ではなく校長自身(もしくは校内の誰か)が行うということになります。
その当事者たる校長先生方を、研修を通じて支援した、というわけです。

データの使い方は、間違うとすぐにオジャンです。
データは、その話者のトークを補強するだけの、棍棒にもなり得ます。
そんなもんでぶっ叩いても、何も組織は動きません。
いかにデータを扱うのか、そこを丁寧に丁寧に考えていきました。

ワークショップも、推進者側の独演会になってしまえば、皆を巻き込むことはできません。
場合によっては炎上してしまう可能性もあります。
そうなれば、校内には働き方改革に対する諦めが広がってしまう。
それはなんとしても避けなければなりません。
教職員の方々が自分ごととして働き方を考えられるような、そんなワークショップについても校長先生の皆様と考えてきました。

データや対話だけではありません。
この研修では(研修内ではそういう言い方はしませんでしたが)組織開発や組織変革の知見を様々に援用しました。

一歩一歩、スモールステップで進めながら、86人の校長先生と進めてきました。
繰り返しになりますが、こんなにハードで繊細な研修は初めてでした。。。

※これらについての詳細も、今後アウトプットします

そして、この取り組みは、3回の研修のみで達成したわけではなく、
進め方等を各校内で共有するためのDVD、校内で調査を行い結果のグラフ化を自動で行うためのシステムなど、様々なツールを用いました。

DVDは今、youtubeにあがっています。
是非見てみてください。(下記の画像をクリック)

スクリーンショット 2020-02-18 10.48.30

これらの取り組みおよびDVDについては、中原先生のブログでも紹介されています。
NAKAHARA-LAB:働き方改革を「熱量アゲアゲ・現場ポットンモデル」や「詰め込み・ポットン・祈るモデル」で行ってはいけない!:現場に「対話」を促すための「働き方見直し・ビデオ映像」大公開!

このDVD作成については、中原先生もさまざまな思いが・・・
(詳しくは先生のブログ↑ご覧ください)

さて、長くなってしまいました。
横浜市との取り組みは、当然、我々(中原先生、中原研辻さん、私)だけで進めたわけではありません。
横浜市教育委員会の山本朝彦さん、飯島靖敬さん、柳澤尚利さん、山内裕介さん、野口久美子さん、根本勝弘さん、立田順一さん(現・緑園西小学校)、外山英理さん(南吉田小学校)、松原雅俊さん(横浜国立大学)らと3年かけて企画してきました。
みんなで、本当に、本当に、頭をひねって考えてきました。

そして、その結果、どんな成果がでたのか。
そういったあたりも含めてこれから論文等でアウトプットしていきたいなと思います。
このブログは、そのための決意表明みたいなものです。

というわけで、最後は書くぞー宣言で終わりたいと思います。

3、2、1、書くぞー。

オランダ視察

ツイッターより。
オランダの学校を院生(現職&ストマス)と見てきた。今回はこれまで以上に充実した視察になった気がする。

視察後には長時間の対話を行った。次のような対話が行われていたと感じた。
①実践を自分の現場で活用できるか考える
②実践内容やそこにいる人から、価値観を感じとり、その価値観を自分の現場で体現しようとしたらどうなるか考える
③異質なものを見る時に、自分の視点がどれだけ経験に縛られてるかを体験する
④↑を乗り越えるために、その現場で感じた事実(例、フィールドノート)に立ち返ったり、他者との感じ方の違いについて考えることを通じて、何度も「本当か」「何故か」と問い続けること。
③④の対話をする姿は、国内ではあまり見られてこなかった。異質なものに触れ、非日常の場にあり、集中的に対話の時間がとれたこと。これらの条件が揃えられたからこそであり、海外に来ることでこれらは実現しやすくなる。
対話までの間に自由時間があったのもよかった。集団行動してると、集団内の熟達者の発言にひっぱられる。
自画自賛っぽくなっちゃうけど,とにかく,今回の視察は学びが大きかった。詳細はまた今度。

https://platform.twitter.com/widgets.js

【本日発売!】「データから考える 教師の働き方入門」

今日、2/28は「データから考える 教師の働き方入門」(辻和洋・町支大祐編著、中原淳監修)の発売日です。とうとう出ました(涙)。

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本書「データから考える 教師の働き方入門」は、横浜市教育委員会×中原研究室の共同研究「持続可能な働き方プロジェクト」の研究成果をベースにしています。このプロジェクトでは、横浜市教育委員会の教職員育成課のみなさまとともに、学校の働き方調査や、働き方の改善に取り組んできました(教職員育成課のみなさま、ありがとうございます!)。

※(参考)このプロジェクトに込めた思いについては以前、ブログに書きました
https://cdai80.wordpress.com/2019/02/07/%E4%BA%88%E7%B4%84%E9%96%8B%E5%A7%8B%EF%BC%81%E3%80%8C%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%8B%E3%82%89%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B-%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E5%85%A5%E9%96%80/

本書の特徴の一つは、タイトルにもある通り、データを用いていることにあります。例えばこれ、

●休憩時間に休憩できてない教員99.6%

休憩時間に休憩できてない教員99.6% 。休めてるのは0.4%のみ。さらっとすごい数字が出ています。

近年、たくさんの行政調査などが行われ、過労死ライン以上は●●%といった数字は、繰り返し出されています。本書は、そういった質問も行なっていますが、それに加えて、働き方や職場に関する先生方の「認識」もたずねています。それらをクロスすると、例えばこんな調査結果も見えてきます。

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教員がどうしても長く働いてしまう原因の一つ(他にもたくさんありますが、そのうちの一つ)には、「不安」があるのではないでしょうか。特に若い人に多いかもしれません。明日の授業が、明日の学活が不安。生徒は待っているのに準備ができていない。準備不足で右往左往してしまう自分を想像して不安。だから、「できうるかぎり」の準備をしてしまう。そんな不安が長時間労働を生んでしまうのかもしれません。

こういったように、データを通じて、「なぜ長時間労働が起きるか(2章)」あるいは「長時間労働を改善するには(3章)」といった点について、様々な切り口からデータを通じて考えています。

もう一つの特徴は、ストーリーを大切にしている点です。データは、その数字だけでは何も語りかけてはくれません。その背後には人がいて、働き方には一人一人に物語があります。そういった一人一人の物語に思いを馳せてこそ、はじめて数字に意味が出てくるのだと思っています。我々は、そのメッセージを序章と5章(対談章)に込めました。

序章では、複数の匿名の教員に寄り添って、働き方のストーリーを編んでいます。ここでは、辻さんの文章力がふんだんにいかされています(プロフェッショナル!!)。

●序章

 

また、5章では、中原先生と三人の先生方の対談があります。岩瀬直樹さん、杉本直樹さん(ダブル直樹さんだ!)、住田昌治さんにお話をうかがっています。3名の方々がこれまで働き方についてどんな経験をされてきたか、そして、働き方の改善が進んだ先にはどんな学校や教師がありうるのか、といった点について語っていただいています。それぞれの先生にしか語っていただけないことも語っていただけたように思います。ここの章を読むためだけに買っても惜しくないくらいだと思います(自画自賛ですみません。でも本当に面白いです)。

●対談

5章には、あわせて特別対談があります。横浜市で教員の働き方改革に取り組んでいる二人の課長(立田順一課長、島谷千春課長)にお話しいただいています。これがまた、”他では聞けない話”が色々あって面白い。行政の方としてギリギリのところまで語ってくださっているように思います。一方で、もともと現場にいながら、あるいは、もともと文科省にいながら、今は教育委員会の一員として学校現場に働きかけることへの迷いや難しさのようなものも滲み出ていて、「なるほどなー、行政にいる方はこういう風に考えているのか」と考えさせられるところがたくさんあります。

さて、データとストーリーという2つの特徴を見てきたわけですが、もう一点、本書で大切にしてきた点があります。それは、「組織で取り組むことも視野に入れている」という点です。もちろんどのように働くか、ということは、個人に原点がある問題です(個人の働き方に関するデータやストーリーももちろんたくさん取り扱っています。)しかし、学校として業務の一部をやめたり、というところまで踏み込んでいくことを考えるならば、働き方の改善には「組織」で取り組むことも視野に入れてとらえる必要があると考えています。

これは同時に、働き方の改善に「それほど積極的でない」先生や、「迷いを感じている」先生も巻き込んでいく必要がある、ということを意味しています。本書は、そういった先生にも読んでいただける本、そして、読んでいただきたい本です。また、そういった先生方を「巻き込みたい」と思っている方にもぜひ読んでいただきたいと思っています。
働き方改革に対して、迷いや葛藤を感じるのは、ある意味当然かもしれないと思っています。数年前までは、今の働き方改革の流れとは異なり、とにかく時間や労力をかけることは単純に良いこととされてきました。それが急に変わってきたことにとまどいを覚える人もいるのは当然です。そういったことを考えると、働き方の改善をすすめていくうえで感じる「モヤモヤ」は、どこかで一度整理してみることも必要ではないでしょうか。それらを整理したうえで、それでも進めていくべきなのかどうかを考える。そのステップをふまずに「世の流れだから」ということで推し進められても、なかなか「腹落ち」して働き方改革を進めることはむずかしいのではないでしょうか。
1章では働き方改革が求められる背景や、働き方改革に感じるモヤモヤのどちらにもスポットライトをあてています。

例えば、もやもやの原因①

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また、本書自体が、働き方改革に積極的な先生と、働き方改革に迷いを感じる人と、そういった方々の対話のきっかけになったらいいなとも思っています。様々なデータは、双方にとって意外な点や、「あるある」と感じられる点も多いように思います。本書のデータを対話の「素材」にしていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

ここまで書いてきたコンテンツを含め、本書は以下のように展開していきます

序章:教員の働き方についてのルポ
1章:働き方改革についてのモヤモヤと、働き方改革を行う背景
2章:データから考える教員の働き方のリアル
3章:データから考える教員の働き方改善のヒントと進め方
4章:働き方改善のための具体的な打ち手
5章:対談

どこからお読みいただいても、参考にしていただけるところがあるかと思います。
ぜひ、お手にとっていただけたら幸いです。
ポチっとしていただけたらさらに嬉しいです(笑)
アマゾン等、もう一度あげておきます!

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最後になりますが、本書のベースとなったプログラムは、横浜市教職員育成課のみなさまとの共同研究です。大変お世話になりました(本日も一緒に研修ですね!笑)。特に、本書にも執筆協力いただいた立田順一課長や柳澤尚利主任指導主事には、夜のカフェで最後まで原稿チェックをともにしていただいたこと、忘れません。また、執筆のプロセスのすべてについて、毎日新聞出版の久保田章子様に後押しいただきました。ありがとうございました。再度になりますが、対談にご参加いただいた、岩瀬直樹先生、杉本直樹先生、住田昌治先生、島谷千春課長にも感謝申し上げます。
そして、中原先生。いつも様々な舞台を用意してくださり、ありがとうございます。今回の舞台は、これまでで最もハードだった気もしますが、一方で一番充実していたようにも思います。そして最後の最後に辻さん。執筆プロセス、楽しかったです。ありがとうございました!これからもしばらく、一緒に頑張りましょう!!

 

 

【関連するサイト】

・辻さんのブログ
http://www.tsuji-lab.net/entry/2019/02/14/073000?fbclid=IwAR1OaFuvhU_ESZ8UeCOR8jxnxi95fTrI_Vl6Jo9OUFvsLeBPLx-IpBiT1RU

・横浜市教育委員会×中原淳研究室 共同研究のページ
http://www.edu.city.yokohama.jp/tr/ky/k-center/nakahara-lab/index.html

 

【おまけ】

・昨日、池袋のジュンク堂にいったら、すでに並べてありました

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「データから考える 教師の働き方入門」 予約開始! :働き方のプロジェクトにかける思い

[ミンナですすめる働き方改革を目指して]
=====
 

この半年間、辻和洋さんと心血注いできた本が、ついに、予約開始になりました。

「データから考える 教師の働き方入門」
辻和洋、町支大祐(編著)、中原淳(監修)
(クリックするとamazonに飛びます)

いやー長かった。特にここ数ヶ月は、執筆、校正などがギリギリの日程で進んで、かなり厳しい状況でした。でも、辻さんと協力しながら(イジられながら?)なんとか進めてきて、やっと、ゴールが近づいてきた気がします。

この本は、学校教育の先生たちの働き方の改善をどう進めるのか、について、主にデータを用いながら述べています。このデータの取得、分析を含め、内容の殆どは横浜市教育委員会との研究をベースにしています。本記事では、書籍の中身そのものにも関わりますが、まずは、そもそもこのプロジェクトにかけてきた自分の思いを述べたいと思います。

ーーーーーーーーーー

そもそも、この研究プロジェクトが始まったのが2年前、2017年度の4月ごろでした。僕は青学からマナビラボに移ったばかりの頃で、マナビラボでの仕事に慣れなきゃなーなんて思っていたある日、中原先生から「チョイチョイちょうしくん、あとで横浜の先生たち来るから研究室きてね」っと声をかけられたのを覚えています。当時、働き方改革のムーブメントみたいなものが(今から考えると)始まりかけのころで、今ほど具体的な方法が紹介されていたり、施策がそこまで出てきてはいない段階でした。

その頃からすでに2年間、働き方改革に関わってきたわけですが、一貫して、僕なりに大切にしてきたことがあります。それは、働き方改革を「誰かを置いてけぼりにしたまま進めたくない」ということです。別の見方から言うと、かなり丸い言い方になりますが、「”みんなで“働き方改革を進めよう」ということです。

そう考えるきっかけになったのは、SNS等で見る発信と、身の周りにいる先生たちの話とのギャップにあります。例えば、SNS上では、学校はブラックで、思考停止していて、働き方改革を進めようとしない管理職や教員はおかしい、という論調も(もちろん全てではありませんが)強いです。一方で、このプロジェクトを含め、様々な研究等で学校に入って先生方と話すと(そういった機会がたくさんあります)、働き方改革に対して「あんなのはオカシイ、一生懸命頑張る先生を否定している」と明確におっしゃられる方や、「わかるけどさー、無理だよねー」とおっしゃられる方もたくさんおられました。
こういった考え方、感じ方のギャップが、様々な場面で亀裂・対立として表面化しているのもたくさん目にしてきました。例えば、SNSを見ていると、教員の労働環境を変えることに一生懸命になっている先生が、働く学校内で孤立したり苦しんでらっしゃる姿がたくさん綴られてました。一方で、新聞や雑誌等に寄稿された、「教員は、子どものために時間をかけて丁寧に向き合うべきだ」といったようなメッセージが、ボコボコに叩かれているのも目にしました。

私は、この点に危惧を感じました。そもそも教員の働き方を改める目的は、もちろん教育の質の向上や転換もありますが、直接的には教員の働き方を改善し、教員が幸せに生きられるようにすることだとおもいます。ですが、私から見れば、働き方改革のムーブメントによって、学校という職場が幸せになっているとは思えなかったのです。(もちろん、それに成功されてる学校もあります)

ここを「どうにかしたい」という思いでプロジェクトに関わってきました。

教職志望者の減少をはじめ、様々な状況を見てみると、学校という職場がこれまでの働き方のままで持続可能だとは思えません。制度や政策もどんどん変える方向に進んでいます。(本書も、「いかに進めるか」を重要なポイントとしています。)でも、このまま、その方向性に納得していない先生たちを置いてけぼりにして、そういった方々を単なる抵抗勢力とあつかっていけば、当然、その先生たちはどんどんシラけていくでしょう。自分が人生をかけて築いてきたものが押し流されるように否定されれば、多くの人が不幸せに感じることでしょう。
一方で、そのように無理矢理変えていくことは、改革の行く末にも暗雲をもたらすように思います。どんなに制度を変えても、最後に働き方の決定権を握るのは、その「働く人」です。残業代がなくてもこれだけ働いてきた教員です。改革にモヤモヤしている人たちをどうにかして巻き込んでいかないと、制度は骨抜きになり、実質的にはそれほど変化はなかった、という結論にもなりかねません。すでに「どうして変わってくれないんだろう」という焦りやイライラを感じてらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
また、ご存知のように現場が直面しているのは働き方の問題だけではありません。働き方の問題をきっかけにして、この仕事に対してシラけを感じ、モチベーション‘ダダ下がり…’の教員が増えてしまったり、働き方改革をきっかけに職場内に深い溝ができれば、それらの他の問題にとっても良いことはありません。
つまり、このままじゃ、誰も幸せにならないのではないかと思いました。

現状では、このギャップや溝をそのままにしたまま働き方改革の議論が進んでいるように思います。私の思いとしては、もうちょっと、違いは違いとして認識しながら、それでも一緒に考えながら、働き方の改善を進められないだろうか、ということを考えています。また、そのような形をとりながら、それでも効果的に実質的に進めるにはどうしたらいいのか、ということをずっと考え続けています。甘い、と思われるかも知れません。根強い文化を変えるには強引さが必要、と言われるかもしれません。でも、前述した通りこのギャップをそのままにすすめるのは、進めたい人にも進めたくない人にとっても不幸なように感じます。

では、どうするか。

僕は対話や議論、そして、そのきっかけになるデータの力を信じています。データが全ての答えを出すわけではありません。でも、データは、議論の土台になります。何も見えない中でこうするべきだ、ああするべきだ、というのは印象のみをもとに語られるので、議論が空中戦になりがちです。そして、そういった空中戦を避けるために、議論自体を避ける動きも生じてしまいがちです。
でも、データによる「見える化」を通した議論は、一定の共通認識をもちながら考えることが出来るので、地に足のついた議論が可能です。考え方の異なる人同士で何かを進めるには、こういった「土台」が必要ではないでしょうか。

私の思いとしては、願わくば、今回の書籍自体が、世の中におけるそういった対話のきっかけ、議論の土台になって欲しいと思っています。働き方改革を進めたい人、働き方改革にモヤモヤを感じている人、どちらにも読んでいただいて、それをもとに議論や対話をしていただけたらと願っています。

書籍の中では、ここで述べたことに関連する、「なぜ今働き方改革なのか」というテーマについて1章を割き、改革へのモヤモヤも含めて様々な視点から考えています。そのうえで、現状の教員の働き方について、そして、その改善をどうすすめていくか、という点について、どちらもデータをもとにしながら述べています。(データというと、小難しい感じに思われる方もいるかもしれません。でも、先程来のべてきたように、色んな人に見ていただきたいと思っており、分析も、その結果の表現も、分かりやすいシンプルな形にしています)
また、データ以外にも、教員の働き方を描いたストーリーや、働き方を変えていくための具体的な手法の紹介、そして、働き方に関して様々に発信してらっしゃる方々と中原先生との対談等もおさめています。

具体的な内容については、また改めて少しご紹介できればと思いますが、今回は、書籍を含めた今回のプロジェクトにかける私自身の思いについて紹介させていただきました。

最後になりますが、もう一度広報しておきます。

「データから考える 教師の働き方入門」 予約、開始しました!!!!!

「データから考える 教師の働き方入門」
辻和洋、町支大祐(編著)、中原淳(監修)

(クリックするとamazonに飛びます)

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本プロジェクトでは、横浜市教育委員会の立田順一さん、柳澤尚利さ、外山英理さん、松原雅俊さん、根本勝弘さん、飯島靖敬さん、野口久美子さん、大学側は、中原先生、辻さん、飯村春薫さんと、ご一緒させていただいています。今後ともよろしくお願いします。

【参加者募集】カリキュラムづくりを探究する 〜ケースメソッドで考える”探究”のカリキュラムマネジメント

12/8(土)にカリキュラムづくりに関する勉強会をやります!
今回は、ある高校における、探究を事例にしながら、カリキュラムづくりについて考えていきます。単にカリキュラムの中身を考えるだけでなく、それを学校のチームとしてどう実現していくか、といったあたりを含めて、対話し、頭をひねりながら考えていくような時間にしたいと思います。

この研修は今冬に有料版として実施する予定で、今回はそのトライアルになります。モニターとして参加していただき、つまり、このケースを体験していただき、フィードバックをいただける方を募集します。モニターですので、もちろん無料です!!!

興味ある方は、是非、ご応募ください!

===開催概要===

【日 程】 2018年12月8日(土)13:00-18:30
【会 場】 立教大学池袋キャンパス(東京都豊島区)
※教室は参加確定した方へ後日ご案内します。
【講 師】 町支大祐(立教大学経営学部助教)
【対 象】 高等学校教員、または高等学校教員経験のある方
【募集人数】6名
※但し、参加希望者多数の場合は抽選となります。

===応募方法===

11月12日(月)までに、以下の3点を明記のうえ、《manabi.lab.open@gmail.com》宛てにメールにてお申し込みください。

1.お名前
2.ご所属
3.教員経験年数と、現在の校内での役職
(例:教員15年目、教務主任と社会科の教科主任を担当)

【結果連絡】11/13(火)を目処に参加者を確定し、
ご応募くださった皆様にメールにて結果をお知らせいたします。

===お問い合わせ先===

マナビラボ:担当「町支(ちょうし)」
電話: 03-3985-4544
メール:choshi@rikkyo.ac.jp